奇跡の新素材『グラフェン』VS電磁波

超伝導成分であるグラフェンは、電磁波の遮蔽(しゃへい)や吸収に非常に有効な材料として注目されています。電磁波を遮断する原理は、主に「反射」と「吸収」の2つのメカニズムに基づいています。

【反射による遮蔽】
グラフェンは電気を通す導体であるため、入射した電磁波の電界がグラフェン内の自由電子を振動させます。この振動によって生じた電流が、入射波とは逆向きの電磁波を発生させ、結果的に電磁波を反射します。この原理は、金属板が電磁波を遮断するファラデーケージと同様ですが、グラフェンは非常に薄いため、より軽量で柔軟な遮蔽材となります。

吸収による遮蔽
グラフェンは電磁波を反射するだけでなく、吸収して熱に変換する能力も持っています。この吸収は、グラフェン内の電子が電磁波のエネルギーを吸収し、そのエネルギーが格子振動(フォノン)に変わることで起こります。これにより、電磁波のエネルギーが熱として散逸(さんいつ)することで電磁波が弱められます。特に、グラフェンでは電磁波と電子集団の電荷振動(プラズモン)が強く相互作用し、電磁波を効率的に吸収することができます。プラズモンは、入射した電磁波のエネルギーをナノスケールの非常に狭い領域に閉じ込めるため、高い吸収効率を実現します。

今後のグラフェンの応用と利点
薄さと軽さ: グラフェンは従来の金属製シールドと比較して、機器の軽量化や小型化に貢献します。塗料やフィルムに混ぜることで、複雑な形状にも適用可能です。

高い遮蔽性能: 単層でも高い遮蔽性能を発揮しますが、多層にすることでその効果はさらに高まります。特に、特定の周波数帯(例:テラヘルツ波)に対して高い吸収効率を持つことが研究で示されています。

柔軟性: 柔軟な素材であるため、フレキシブルな電子機器やウェアラブルデバイスへの応用が期待されています。

熱伝導性の改善: 電磁波を吸収して熱に変換するだけでなく、その優れた熱伝導性によって、機器内部で発生する熱を効率的に外部へ逃がすことも可能です。これは、小型化が進む電子機器の放熱問題の解決にも繋がります。

これらの特性から、グラフェンはスマートフォン、ノートパソコン、電子レンジ、医療機器、さらには次世代通信技術である5Gや6Gの電磁波対策など、幅広い分野での応用が期待されています。eウィンテックでは、セラミックとグラフェンの相性の良さを活用した、様々な研究開発に尽力して参ります。

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